★漫画家の収入の内訳
漫画家を目指すとき、もっとも気になることのひとつに「年収」があると思います。
年収は、人気や仕事量によって大きく左右されます。
皆さんご存じだと思いますが、トップになれば年収何億という世界です。
ただ、年収と一口にいっても内訳は様々です。
漫画家は自営業なので、会社員のように給料がすべての収入というワケではありません。
いざ夢が叶って「漫画家」になったとき、「お金の出入りがよくわからない!」とならないように、あらかじめ漫画家の収入と支出について知っておいて損はないと思いますので、簡単に説明したいと思います。
※あくまで説明用の例示なので実際とは異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
漫画家の収入例
【例1】月刊誌の連載作家の場合
(1)原稿料
連載作家の収入の基本となります。
原稿料は、1ページあたり数千円~数万円(キャリアや雑誌による)×約30ページという計算です。
仮に1ページ1万円とした場合、月々の原稿料は30万円ということになります。
(2)単行本の印税
連載がある程度続くと、単行本(コミック)が刊行されます。
こちらは1冊あたり8~10%×発行部数という計算です。
初版部数はキャリアや出版社によって様々ですが、仮に1万部とした場合、1巻発行ごとに40万程度入ります。
月刊誌の場合、年間約2冊として、80万。
売れれば重版がかかり、そのたびに「5千部重版=20万」「1万部重版=40万」と上乗せされていきます。
また、電子書籍でダウンロード購入された場合も、印税として収入になります。
(3)その他の収入
アニメ化やドラマ化、映画化などをされると原作者には使用料が支払われます。
また、グッズが販売された場合も同様に使用料が支払われます。人気が出れば出るほど収入が増えます。
【例2】ウェブ漫画家の場合
(1)原稿料
ここは紙雑誌の連載漫画家と同様です。
ただ、原稿料は基本的に紙の雑誌に比べて安価なことが多いです。
(中にはとんでもなく安い稿料で契約を求めてくるケースもあるようなので、仕事を受けるかどうかを決めるときは注意が必要です)
単価が安い分、複数のサイト、アプリを掛け持ちして連載しなければ十分な収入を得られない場合もあります。
(2)単行本の印税
連載漫画家と同様ですが、単行本が出版される可能性は紙の雑誌に比べて低めだと言われています。
人気が出れば発行部数によって印税が入ります。
(3)その他の収入
連載契約の他に、単発で依頼を受注し、クライアントの要望通りのイラストや漫画を納品する、というスタイルの仕事をしているウェブ漫画家もいます。
紙雑誌の連載漫画家と比べると安定した収入を得ることが難しいため、働きながら漫画を描いていたり、同人漫画やLINEスタンプなどで稼いだりと、ウェブ漫画以外の収入源を持っている人も多いようです。
【例3】読み切り掲載、連載なしの漫画家
(1)原稿料
読み切りが雑誌に掲載された場合、原稿料が支払われます。
ただ、連載とちがって毎月必ず掲載してもらえるわけではないので、悪いときは年に一度しか読み切りが掲載されなかったということも。そうなると原稿料は年間で10~20万程度ということになってしまいます。
(2)その他の収入
運がよければ雑誌のコーナーにミニイラストを描く仕事がもらえたりします。ただ報酬はさほど高くはありません。
ただ、読み切りの原稿料と単発のイラスト仕事の報酬だけでは生活していけないことがほとんどなので、連載がもてるまでは、他の漫画家さんの現場にアシスタントで入る人も少なくありません。
また、アシスタントをして得た収入で足りなければアルバイトもかけもちしなくてはなりません。
アシスタントをしながら自分も連載を目指して漫画を描かなければならないため、精神的にも肉体的にも金銭的にも厳しい状況になってしまいます。
上の3例はあくまで例示として挙げたものです。
ただ、収入的が安定して入ってくる、大きく当たれば超高収入につながる例1の連載漫画家になるためには、
1.雑誌で受賞! 担当付き漫画家志望者に
2.雑誌に掲載! デビュー達成!
3.読み切り掲載から連載を目指す(まず編集会議で通らなければ掲載もされない)
4.読み切りが好評! 短期連載開始!(打ち切りラインはシビア。ほとんどの新連載が短期打ち切りに終わるのが現実)
5、打ち切りラインをクリアーし中長期連載へ!
この5段階の難関を突破していかなくてはならない、というのは事実です。
その上、常に打ち切りのラインと戦いながら、打ち切られたら3からやり直しです。
ヒット作を複数持ってるような人気作家以外は、そう簡単に企画も通りません。
「連載が打ち切られてしまった瞬間、定期収入が途絶える」のは、かなり痛いです。
「人気漫画家になりたい」という目標だけでなく、「漫画家の仕事を長く続けたい」という目標を達成するのも、非常に難しく、険しい道のりだということがわかると思います。
人に夢を与える職業である漫画家ですが、現実的に厳しい側面もあるということは頭に入れておきましょう。
ただ、例2や例3で挙げたように、「連載を持つこと」だけが収入源ではありません。
紙雑誌の発行部数が年々減っている中、インターネットを介した仕事は、多様な可能性を秘めていると言えます。
これから先の時代、漫画家として生きていくには、自分の目で良いクライアント、良い仕事を見極め、積極的に仕事をとっていく姿勢が重要になってくるかもしれません。