★意外と曖昧? 少女漫画の定義
そもそも、少女漫画ってどんなものを指すのでしょうか。
「絵がかわいい」目がキラキラしてる」「イケメンと恋愛」……などなど。他にも色々と浮かんできますが、とりあえずWikipediaでは、こんな定義がなされています。
少女漫画(しょうじょまんが)は、少女雑誌に掲載されるなど、主たる読者として若年の女性を想定した日本の漫画。実際には大人女性にも幅広く読まれている分野でもある。
つまり、「少女雑誌に掲載される漫画 = 少女漫画」ということです。
私も、このシンプルな定義が一番簡単で分かりやすいと思いますし、少女漫画家志望の方は、まず大前提としてこの認識を頭の片隅に置いておくことをオススメします。
というのも、たとえば内容で少女漫画を定義しようにも、線引きが非常に曖昧になってしまうわけです。
「少年漫画と比較して心情描写に重点が置かれてる」 「恋愛要素がメインテーマの作品が多い」 「女性が読むことを前提に作られている」
こんな定義には必ず例外が出てきます。
『あさりちゃん』や『パタリロ!』、『さばげぶっ!』なんかのギャグ漫画は、恋愛要素がメインではありませんし、『動物のお医者さん』や『夏目友人帳』などは、男性読者が多いことでも知られています。
そして、「学園もの」「ファンタジー」「SF」「ミステリー」……。
こういったジャンルで「少女漫画」を定義付けするのは、さらに難しい(というかムリ)です。
なので、ここは難しく考えず、出版社(編集者)が「これは少女漫画雑誌です!」と銘打っている雑誌の掲載漫画を、『少女漫画』とするのが、色んな面でラクです。
「自分が描いてるのって少女漫画じゃないんじゃ・・・」
そんな悩みを抱える漫画家志望者は、結構多いはず。
でも結局、その作品が「少女漫画」かどうか決めるのは出版社(編集者)なんですよね。
物語がジャンルや型からはみ出すなんてのは、よくあること。
たとえば『俺物語!!』は、「主人公が2mの大男」という、おおよそ少女漫画らしからぬ設定ですが、あくまで少女漫画として出版され、人気を博しています。
また、「月刊コミックジーン」なんかは、「女性向けの少年漫画雑誌」というコンセプトで創刊されていますので、ジャンル分けの定義がいかに曖昧なものかよくわかると思います。
なにはなくとも、ジャンルや定石にとらわれず、自由に描きたいものを描くことが大切です。
少女漫画家から少年漫画に転向する作家さんもいらっしゃいますし、その逆もあります。つまり、「少年誌」「少女誌」などの雑誌の垣根は、読者が外から見るほどに高い垣根ではないのです。
「この作家が少女漫画に向いているか?」を考えるのは、漫画家ではなく編集者のお仕事です。
まずはとにかく、面白いものを描く!
その気合いと「描きたい!」という抑えきれない衝動がある人は、だれでも漫画家になれる可能性を持っていると思います。
★対象年齢による分け方
とはいえ、上の定義だと少し問題が出てきます。
そう、「女性漫画雑誌」との境界です。
例えば、小学館の「フラワーコミックス」という漫画単行本レーベルは、今でこそ雑誌ごとに細かく区別されていますが、かつては「ちゃお」などの少女漫画雑誌の作品と、「プチコミック」といった女性漫画雑誌の作品が、「フラワーコミックス」という同一レーベルで出版されていました。
実際、中高生向けとされている「マーガレット」や「花とゆめ」の掲載作品は、小学生からもよく読まれますし、「なかよし」や「りぼん」といった小学生向け雑誌の掲載作品を好む成人女性も多いです。(私もその1人です。笑)
つまり、対象年齢の境界も、「少女漫画か否か」という定義付け同様、非常に曖昧なものというわけです。
このサイトでは、名目上、「少女漫画家になりたい人」に向けて情報を発信としていますが、つきつめていけば、「少女漫画家になりたい」という目標は立てない方がいいです(笑)
「少女漫画家になりたいから、少女漫画描く!」
ではなく、
「少女漫画が好きだから、好きな漫画描く!」
という心構えでいた方が、凝り固まらずのびのびとした作品が描ける、ということです。