★キャラクターの「演技力」を磨くには
前回の「「デッサン力」を磨こう!【画力向上の3ステップ~その1】」に続いて、画力向上のために押さえておきたい3ステップのうち、2つ目を紹介します。
2.「絵の演技力」を向上させる
人やモノを違和感なく描けるようになったら、次に注力すべきは「絵の演技力」です。
魅力的なキャラクターには、必ず「個性」があります。
そして、個性というのは、単に容姿によって描き分けるだけでは不十分です。
「個性」は、キャラクターの「アクション」と「リアクション」によって演出していきます。
まず、どんなキャラクターも、物語の中では「生きた人間である」ことを意識すること。
それぞれに性格があり、怒り方ひとつをとっても、千差万別。それぞれです。
たとえば、物語の1ページ目で、主人公の女の子が「イケメン男子とぶつかって転んだ」とします。
その子が次のコマでどんなリアクションをするかによって、読者は、一目で「個性」を知ることができるのです。
<例> 1.「ごめんなさい!」と顔を赤らめてうつむく⇒引っ込み思案で恥ずかしがり屋 2.「謝ってよ!」とキレる⇒元気で男勝り 3.無反応で立ち去る⇒人との関わりを避けている
さらに、その主人公に対して、相手はどんな「リアクション」をとるでしょうか?
「ごめん」とぶっきらぼうに謝る⇒不器用 「気をつけろ」と怒る⇒俺様 「大丈夫?」とやさしく手をさしのべる⇒王子系
どんなリアクションをとるかによって、印象はまったくちがいますよね。
この「アクション」と「リアクション」の積み重ねが物語を面白くし、キャラクターの個性となっていきます。
キャラクターは必ず、自ら何か行動をする「アクション」と、身に降りかかったできごとに対する「リアクション」をくりかえしながら、物語(=そのキャラクターの人生)を生きていきます。
物語の作り手である作者は、それを常に意識しなくてはなりません。
特に、少女漫画は、少年漫画に比べて「繊細な心理描写」が求められると言われています。
少女漫画家を目指すのであれば、ある意味、この「キャラクターの演技力」は最も力を入れるべき項目かもしれません。
そして、キャラの「アクション」と「リアクションを読者に正しく伝えるためには、「絵の演技力」が必要になってくる、というわけです。
たとえば、「傷ついて泣きそうなときの作り笑い」と「ドキドキして緊張したときの作り笑い」はちがいます。
別れ話を告げようとしている最後のデートでは、並んで歩く相手との間に少し距離があるでしょう。
そうした、キャラの繊細な表情や動きを、作者として演出し、狙いどおりに描き出す。
そのためには、「絵の演技力」を鍛えていくしかありません。
「絵の上手さ=デッサン力」を磨いたあとは、表情の描き分けと、「アクション」「リアクション」のバリエーションを増やしていきましょう。