★「面白い」が伝わらない!? 物語をダメにする2つのパターン
前回、前々回の「ストーリーの基礎知識(1)~構成のテンプレ」、「ストーリーの基礎知識【2】~おもしろい話とは」に続いて、ストーリー創作の基礎知識についてお話ししていきます。
この「面白い」物語をつくるというのが、ストーリー創作においてもっとも難しいところです。
自分が考えた話を、他の人が面白いと思ってくれない理由は、せっかくの面白さが伝わっていないからだということは、前回もお話ししました。
原因は主に2つあって、1つ目は、自分の脳内では面白いのに、上手くアウトプットできていないパターン。
2つ目は、アウトプットはできているけれど、構成がイマイチなパターン。
今回はこの2つ目。
構成がイマイチなパターンに陥ったときの突破法を紹介します。
初心者が作ったストーリーは、物語が淡々と進み、起伏に乏しくなりがちです。
「どこが面白いのかわからない」まま、なんとなく最後までいってしまう。
本当は面白い部分もあるのに、それを面白いと感じる前に、読者が話に飽きてしまう。
これを解消するための方法のひとつとして、「緊張」と「斜め上」という手法があります。
「緊張」と「斜め上」でメリハリを!
基本的な考え方は、物語に「緊張」を盛り込むということ。
物語の展開が単調だと、読者の気持ちは「ハイハイ。どうせ次はこうなるんでしょ」と、冷めていきます。
それを防ぐために、わざと「読者を不安にさせる」のです。
例えば、親友だと思ってた友だちに裏切られ、主人公が大切にしていたキーホルダーを川に捨てられてしまう。
主人公はとっさに、柵を乗り越えて川に飛び込もうとする…。
こういったマイナスの事件を起こすことで、
「やばいじゃん。どうなるんだろう?」
「まさか、あんなことにはならないよね?そんなのやめて!」
という感じに、読者は気持ちを揺さぶられます。
気持ちを揺さぶられたとき、読者は「続きが気になる」ので、ページをめくる手を止めることはありません。
そして、読者の関心を惹きつけたところで、「斜め上」を使います。
読者が想像する展開の、斜め上をつくのです。
コツはとにかく、「読者の感情」を強く意識すること。
マイナスの事件を見た読者はどんな展開を予想するか?
どんな展開だと「うれしい」か?
常に先回りして、読者の感情の流れを予測するクセをつけましょう。
そして最終的に、読者が「こうなるのでは?」と思っていた展開を裏切ってしまうのです。
注意してほしいのは、「斜め上」といっても、ものすごく奇抜な展開を考える必要はありません。
なぜなら、読者が求めているのは「不安」を解放してくれる「安心」だからです。
ピンチの主人公のもとには、ヒーローが助けに来ればいいんです。
大切なものを失くしてしまったヒロインは、新たな宝物をプレゼントされるかもしれません。
あるいは、ヒーローが主人公のかわりに川に飛び込もうとすることで、主人公は「本当に大切なもの」に気づくかもしれません。
読者を「緊張」させたあとは、必ず「安心」を与えましょう。
そこに、胸キュン要素や、意外な真実などを入れられれば、なお良いでしょう。
緊張と安心。その落差が、すなわちメリハリなのです。
ストーリーにメリハリをつけることで読者を物語に引き込み、あなたの物語の「面白さ」を伝えるための下地を整えましょう。
次回は、物語をダメにするもう1つのパターン、自分の脳内では面白いのに、上手くアウトプットできていないパターンについてお話しします。