★絵の「デザイン力」を磨くには
前回、前々回の「画力向上の3ステップ【1】~デッサン力を磨こう!」、「画力向上の3ステップ【2】~「絵の演技力」を磨こう!」に続いて、画力向上のために押さえておきたい3ステップのラスト、3つ目を紹介します。
3.デフォルメとオリジナリティー
項目1でデッサン力という話をしましたが、漫画には同時にデザイン力も求められます。
現実にあるものをそのまま写しとるのではなく、自由な想像力で上手にウソをつく能力です。これを芸術用語でデフォルメ(意図的に対象を変形させて表現すること)とも呼びます。
読者は、漫画のキャラクターに対して、現実そのままであることを求めてはいません。
特に少女漫画は、キャラクター世界を、「美しく、可愛らしく、綺麗に」表現できるデザイン力が重要です。
目の大きさ、頭身のバランス、足や手の細さ……。
それらは、現実じゃありえない描き方でもまったく問題ありません。
大事なのは、「この絵かわいい」「この絵好き」と読者に思ってもらうこと。
そして、自分にしか描けない「絵の個性」を見つけることです。
この点は自分では気がつきにくいものなので、積極的に第三者の意見をもらいましょう。
「どこが良いか」「どこが良くないか」、両方のコメントをもらえるよう、あらかじめ頼んでおくといいです。
(ダメだしばっかりされると心が折れるので。。。笑)
良いと言ってもらった部分は、あなたの強みです。
謙遜することなく素直に喜んで受け止めて、どんどん伸ばしましょう。
良くないと言われた部分は、将来、読者があなたのマンガを見たときに感じることと、同じであると考えます。
一生懸命描いたものの悪い部分を指摘されるのはショックですが、もし仮にプロデビューした場合は、その何倍、何十倍の悪い部分を指摘され続けます。未来のための精神修行だと思って、批判を受け止める練習をしましょう。
そして大事なのは、言われた批判を気にしすぎる必要はないということ。
もちろん、「オマエはなにもわかってない!素人が好き勝手言うな!」と、批判を頭ごなしに拒絶するのはダメです。
こういうタイプの考え方になってしまうと、せっかく成長できるチャンスを自分から逃すことになりかねません。
そうではなくて、大切なのは、どの指摘を取り入れれば自分のマンガがもっと良くなるかということを、自分の頭で考え、取捨選択ができるようになること。
これは本当に難しく、感覚的なことなので、特効薬や必勝法があるわけではありません。
とにかくたくさんの意見を聞いて、試す。
試してしっくりこなかったら、切り捨てる。
試してしっくりくれば、どんどん取り入れる。
そのくりかえしによって、「自分はどの部分が苦手で、それはこういう手法を用いれば上手くいく」というのを発見する能力が身につきます。
これが身につけられるかどうかによって、「成長し続けられる人」「すぐに成長が止まる人」の差が生まれます。
そして、成長し続ける過程の中で、「変わらないもの」を見つけ出す。
それこそが、すなわち、あなただけのオリジナリティーなのです。
まとめ
全3回に分けてお送りしてきた、画力向上の3ステップ。
<1>基礎となるデッサン力を身に付ける【第一段階】
<2>キャラクターに演技させることができるようになる【第二段階】
<3>「自分だけの絵(オリジナリティー)」を追求する【第三段階】
遠周りにも思えますが、確実に段階を踏むことで逆に無駄なく技術を身に付けていくことができるのです。